https://funatoya.com/funatoka/Rauber-Kopsch.html

片山正輝

目次(V. 神経系)

funalogo.gif


ニューロンの細胞体から発する神経突起は束を形成し、中枢器官内部や末梢神経系を通じて遠くまで走行する。これらの束は分岐・合流を繰り返し、一部または全部が他の束に加わることもある。この束の分岐・合流の過程を神経叢形成Geflechtbildungと呼び、その結果生じるものが神経叢Plexus, Geflechtである。

神経叢は神経間の複雑な結合形態を指す。一方、より単純な末梢性の結合である吻合Anastomoseまたは結合Konjugationは、異なる太さの末梢神経が互いに合する現象である。この過程では以下の特性が生じうる。

366-367.png

図366(ヒトの脊髄神経節の大型細胞(100µm)とその結合組織性被膜)、367(A. 単純結合、B. 相互結合)

a) 単純結合Conjugatio simplex:結合枝が一本の神経の線維を他の神経の経路に送る(図366(ヒトの脊髄神経節の大型細胞(100µm)とその結合組織性被膜)、367(A. 単純結合、B. 相互結合) , A)。これらの線維は、後者の神経内で中枢方向、末梢方向、または両方向に走行する。

b) 相互結合Conjugatio mutua:結合枝が両方の神経の線維を導く。線維の走行方向は中枢側、末梢側、または両方向とさまざまで、その配列も多様である。この場合、必然的にどこかで交叉Decussationes, Kreuzungenが生じる(図366(ヒトの脊髄神経節の大型細胞(100µm)とその結合組織性被膜)、367(A. 単純結合、B. 相互結合) , Bのxに示す)。このような交叉は末梢神経系だけでなく、中枢器官内にも広く存在し、特に中枢器官における体の両半の線維間の正中面での重要な交叉も同様である。

これらの大規模な中枢性交叉の意義は、運動性・知覚性を問わず極めて重要である。これらの交叉は中枢性の交連Kommissurenと同様、体の両半を密接に統合する役割を果たす。つまり、体の両半における中枢と末梢は、これらの交叉を通じて深く相互作用しているのである。