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目次(VI. 感覚器)

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基本構造

上皮の特徴

神経上皮の構成

球形嚢・卵形嚢および3つの半規管の壁は全体として薄く、平衡斑と膨大部稜の部分のみが著しい厚さを示している(図701(球形嚢斑の辺縁部)図705(ヒトの後半規管の膨大部稜の横断面) )。平衡斑の厚さは0.15~0.2mmである。壁は皮膚と同様に上皮性の部分結合組織性の部分から構成され、これらはガラス様の透明層である基底膜Grundhautによって区分されている。基底膜に続いて網胞を含む線維性結合組織層があり、その厚さは部位により異なる。この層には弾性線維が含まれ、球形嚢・卵形嚢・半規管への脈管や神経が通過し、上皮層を周囲組織と結合する機能を持つ。平衡斑と膨大部稜では、基底膜に接する結合組織の内層が特に細胞に富んでいる。一方、外層は徐々に疎になり、線維束が網状の配列を示す。膜半規管では基底膜が極めて厚く、壁の主要構成要素となっている。

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図701(球形嚢斑の辺縁部)

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図705(ヒトの後半規管の膨大部稜の横断面)

上皮はどこでも単層で、一般に丈が低い。ただし平衡斑と膨大部稜では特に丈が高くなっており、ここでは上皮が神経上皮Neuroepithelとなっている。

膨大部稜の端は円柱上皮で縁取られており、これにより神経上皮の周囲に半月形の縁が形成される。膨大部稜に向かい合う線条部にも円柱細胞が存在する。半規管の凸側壁を走る線条(いわゆる縫線Rhaphelinie)に沿っても円柱細胞があり、ここでは細長い上皮細胞が密集している。

平衡斑および膨大部稜の神経上皮には有毛細胞糸状細胞の2種類の細胞がある(図702(新生児の卵形嚢斑における上皮細胞) )。糸状細胞Fadenzellenは支持細胞Stützzellenとも呼ばれ、基底膜から上皮表面まで達する細長い細胞で、上下の両端が若干太くなっている。核は下端付近かそれよりやや上方に位置する。

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図702(新生児の卵形嚢斑における上皮細胞)