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(RK278(右肩甲骨:背側面)、279(右肩甲骨:腋窩縁からの視点)、280(右肩甲骨:肋骨面) 、RK358(第3腰椎)、359(肩甲骨)、360(鎖骨) )
肩甲骨は扁平な三角形の骨で、椎骨縁・腋窩縁・上縁(Margo vertebralis, axillaris, cranialis)の3縁と、下角・上角・関節角(Angulus caudalis, cranialis, articularis)の3角を持つ。
前面は肋骨面(Facies costalis)と呼ばれ、浅く凹んでいる。この面を横切って関節角に向かう数本の隆起線が走っており、これを筋線(Lineae musculares)という。
後面は背側面(Facies dorsalis)と呼ばれ、肩甲棘(Spina scapulae, Schultergräte ad.-kamm)によって上方の小さい棘上窩(Fossa supraspinata)と、下方のより大きい棘下窩(Fossa infraspinata)に分かれる。
肩甲棘は第3胸椎と向かい合い、三角形の領域をなして始まり、外側に進むにつれて高さを増し、最後に平らに押し広げられた強大な突起になって終わる。この突起が肩峰(Acromion, Schulterhöhe)で、肩関節を後上方から覆っている。
肩峰の上縁の外側縁の近くに鎖骨と結合する卵円形の関節面があり、肩峰関節面(Facies articularis acromii)と呼ばれる。
関節面には上腕骨の頭を入れる関節窩(Fossa articularis, Gelenkpfanne)がある。関節窩は浅い凹面をなし、西洋ナシの形をしており、上方の細くなった部分で1つの突起に接している。この突起は関節上結節(Tuberositas supraarticularis)と呼ばれ、上腕二頭筋の長頭の腱が起始するところである。また関節窩の下には腋窩縁に関節下結節(Tuberositas infraarticularis)があり、上腕三頭筋の長頭の腱の一部が起始するところとなっている。
関節窩の内側には肩甲頚(Collum scapulae)がある。肩甲骨の上縁から板状に強く押しつけられた形の突起が、ほぼ垂直に関節窩の上へ出て、すぐに直角に前外側へ曲がり、円みを帯びた先端で終わる。これが烏口突起(Processus coracoideus, Rabenschnabelfortsatz)で、諸筋(小胸筋、烏口腕筋、二頭筋短頭)および靱帯が起始・停止するところになっているだけでなく、肩峰が後上方からしたように、肩関節を前上方から覆って保護している。肩峰の面と烏口突起の面とはほぼ直角をなしている。
肩峰は関節面より外側へ4cm、烏口突起は2cmだけ伸び出している。
肩甲骨の上縁(Margo cranialis)は3縁のうち最も短く、烏口突起の付け根のところに肩甲切痕(Incisura scapulae)という切れ込みを持っている。まれにはこの切痕が骨質で囲まれて孔になっていることもある。2番目に長い腋窩縁(Margo axillaris)には、関節窩のすぐ際に関節下結節がある。椎骨縁(Margo vertebralis)は3縁のうちで最も長い。この縁は必ずしも凸出しておらず、多数例で直線あるいは凹の線をなす(H. Frey, 1924)。椎骨縁が凹の線をなすときは舟状肩甲骨(Scapula scaphoidea)という。
舟状肩甲骨は体格の弱い人に頻度が高い。多くの著者(Gravesその他)によって退化的な徴候と考えられたが、Kajava(Duodecim 1924)およびH. Frey(Z. Anat. Entw.-gesch., 74. Bd.)によればそうではない。椎骨縁の人種による差と男女の差は厳密な意味では存在せず、その形は肩甲骨の働きと筋肉の発達程度とに左右される。つまり舟状肩甲骨ははっきりした機能型(Funktionstypus)だというのである。
[図278] 右肩甲骨:背側面(8/17)
[図279] 右肩甲骨:腋窩縁からの視点(8/17)
[図280] 右肩甲骨:肋骨面(8/17)