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片山正輝

目次(V. 神経系)

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図524(交感神経幹上部・舌咽神経・迷走神経・副神経・舌下神経)

多くの場合、迷走神経からは各1本の上咽頭枝下咽頭枝が出る。これらは咽頭の側壁に達し、舌咽神経および交感神経からの咽頭枝と結合して咽頭神経叢Plexus pharyngicusを形成する。

咽頭神経叢は粗い網目状の構造を形成し、舌骨咽頭筋の外面に位置する。多くの場合、1個以上の神経節を有している。この神経叢からは多数の小枝が出て、一部は筋肉に、一部は粘膜に分布する。咽頭の輪状筋内部では、侵入した細い枝が密な叢を形成し、その結節点(神経網の交差部)に神経細胞が存在する。同様の神経叢が粘膜下組織にも存在し、豊富な神経細胞を含んでいる。これら二種の神経叢は、他の腸管に見られる腸筋神経叢Plexus myentericusと粘膜下神経叢Plexus submucosusに相当する。

上咽頭枝は口蓋帆挙筋と口蓋垂筋に達する。Braeuckerによれば、1本の細い枝が上上皮小体まで追跡された。咽頭神経叢からの複数の枝が甲状腺に到達する。また、迷走神経の咽頭枝の1つから迷走神経の舌枝Ramus lingualis n. vagiも分岐する(Luschka)。この舌枝は舌咽神経の咽頭枝から1本の細い枝を受け取り、舌下神経に至って2本の小枝に分かれる。1本は舌下神経と共に末梢へ進み、もう1本は交感神経外頚動脈神経叢に入る。