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上腕骨の基本構造
骨幹部の特徴
下端部の構造
解剖学的特徴
RK287(**右上腕骨:**伸側(後面))、288(**右上腕骨:**屈側(前面))
上腕骨の上端部には内側にほぼ半球状の関節頭、すなわち上腕骨頭 Caput humeri, Oberarmkopf がある。これは解剖頚 Collum anatomicum という輪状の溝によって、この骨の残りの部分から表面的に区別される。上腕骨頭の外側には強く突出した部分があり、これを大結節 Tuberculum majus という。その前方には縦走する深い溝を隔てて小結節 Tuberculum minus がある。
両結節にはそれぞれ側方の粗面と上部の滑らかな面とが区別される。大結節の上部の滑面は上・中・下の3領域を示し、それぞれ棘上筋、棘下筋、小円筋の付着部となっている。小結節の上部の滑面には、肩甲下筋の付着する領域が1つのみある。両結節の間には結節間溝 Sulcus intertubercularis という溝があり、ここを上腕二頭筋の長頭の腱が通る。両結節の下方の部分を外科頚 Collum chirurgicum と呼ぶ。大小の結節からそれぞれ1本の隆起線が骨幹へ伸びている。これが大結節稜 Crista tuberculi majoris と小結節稜 Crista tuberculi minoris であり、前者には大胸筋、後者には広背筋と大円筋が付着する。
上腕骨の骨幹は上腕骨体 Corpus humeri と呼ばれ、上部ではほぼ円柱状だが、下部では3面を持つ。上腕骨体のおよそ中央の外側面に大きな三角筋粗面 Tuberositas deltoidea があり、三角筋の付着部をなす。同じく外側面で、その下方に1本の浅い溝が走っている。この溝は後ろかららせん状に外側面へ伸び、やがて消失する。これを橈骨神経溝 Sulcus nervi radialis と呼ぶ。内側面には1つの大きな栄養孔があり、下方へ走る管に通じている。
上腕骨体の三角柱状の下端部には2つの鋭い稜、すなわち尺側縁 Margo ulnaris と橈側縁 Margo radialis がある。下端の結節状の関節頭は上腕骨顆 Condylus humeri と呼ばれ、形態の異なる2つの部分、すなわち外側の上腕骨小頭 Capitulum humeri と、内側の上腕骨滑車 Trochlea humeri からなり、両者の間に1本の溝が走っている。滑車はその中央付近に導溝 Führungsrinne を持つ。
滑車の上方の前面に鳥口窩 Fossa coronoidea と呼ばれる著しいくぼみがあり、腕を強く曲げるときに尺骨の鳥口突起が入る。小頭の上方には同じく前面に浅い橈骨窩 Fossa radialis がある。後面には深くて広い肘頭窩 Fossa olecrani が認められ、腕を伸ばすとき肘頭がここに入る。肘頭窩の底は鳥口窩のごく近くにまで来ており、ここに孔ができていることもある。