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目次(VI. 感覚器)

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図687(新生児の左側頭骨錐体部)、688(内耳道底(左側頭骨))

内耳道は側頭骨の錐体乳突部を貫いて外側へ向かって伸びる管で、内耳孔Porus acusticus internusから始まり、約0.7~1cmの短い経過の後に内耳道底Fundus meatus acustici interniで行き止まりとなる。内耳道に向かう内耳道底の面は、横稜Crista transversaという水平方向の1本の隆線によって、上方の小さい領域と下方の大きい領域に分かれている。

上方の領域には前内側に顔面神経管口Introitus canalis n. facialisがある。その外側には1群の小孔があり、前庭神経の大部分の線維束がここを通過する。この小孔群の存在する領域を卵形嚢膨大部[前庭]野Area vestibularis utriculoampullarisという。

下方の領域はより広く、蝸牛野Area cochleaeと呼ばれる前方の領域にはラセン状の帯がみられる。ここには多数の孔が渦巻状に配列し、ラセン孔列Tractus spiralis foraminosusと呼ばれ、蝸牛神経の線維束がここを貫く。ラセン孔列の後端に隣接して1群の小孔があり、球形嚢[前庭]野Area vestibularis saccularisという領域を形成している。また下方の領域の後方3mmほどのところに、直径約1/2mmのやや大きな単一の孔がある。これは単孔Foramen singulareと呼ばれ、前庭神経の後膨大部神経N. ampullae posteriorisが通過する孔である。