脛側頭(Caput tibiale)は強大で大腿骨の内側顆から起始し、腓側頭(Caput fibulare)はやや弱く大腿骨の腓側顆から起始する。これらは幅の狭い1つの腱条を挟んで鋭角に合流し、扁平な1個の腱となる。この腱はヒラメ筋の腱と合して下腿三頭筋腱(Tendo m. tricipitis surae)、別名アキレス腱(Achillessehne)を形成し、踵骨隆起に停止する。
腓側頭の起始腱には21%の頻度で3~14mmの大きさの種子骨があり、腓腹筋頭種子骨(Fabella)と呼ばれる。脛側頭と腓側頭の間の溝を腓腹神経という1本の皮神経が走行する。腓側頭の表面を大腿二頭筋の腱が交差する。
脛側頭の下方には腓腹筋脛側頭嚢(Bursa capitis tibialis m. gastrocnemii)という粘液嚢があり、これは半膜様筋腓側嚢(Bursa m. semimembranacei fibularis)と連絡することがある。これらが融合した嚢は腓腹筋半膜様筋嚢(Bursa gastrocnemiosemimembranacea)と呼ばれる。アキレス腱と踵骨の間には下腿三頭筋腱嚢(Bursa tendinis m. tricipitis surae)がある(RK579(下腿における屈筋の深層))。大腿二頭筋腱と接触する部位には(稀に)二頭筋腓腹筋嚢(Bursa bicipitogastrocnemialis)という粘液嚢が存在する。
**神経支配:**脛骨神経
脊髄節との関係:(L4)L5, S1, S2
**作用:**足の底屈(踵の挙上)、膝関節の屈曲。足を固定した状態では下腿および大腿を後方に引く。
**変異:**腓側頭は欠如または痕跡的なことがある。Le DoubleとMacalisterは腓側頭と脛側頭が腱様の条に置き換わっている例を報告している。稀に両頭が2層に分かれたり、下腿下部まで独立して走行したりすることがある。腓側頭には21%の頻度で種子骨が出現するが、脛側頭では稀である。両脚に種子骨が存在する例は約4%である。M. gastrocnemius tertius(第3腓腹筋)と呼ばれる過剰筋束は、Freyによれば約3%に見られ、大腿骨の膝窩面、大腿骨稜の内側唇、内転筋管裂孔、膝窩動静脈の血管鞘、および坐骨神経から起始する。(第3腓腹筋の1例が西本勝之輔により報告されている:長崎医学会雑誌,16巻,2471~2475,1938)