RK494(**前腹壁の横断面:**腋窩下部)、495(**前腹壁の横断面:**臍部)、496(**前腹壁の横断面:**臍下部)
白線は、腹部の"胸骨"とも呼べる構造で、長さは35~40cmあり、胸骨から恥骨結合へと延びている。その幅は臍より上部では10~25mm、臍付近では14~18mmである。下方に行くにつれて幅は狭くなるが、高さは増す。白線の下端は恥骨結合にしっかりと付着し、その後面にある三角形の靱帯、すなわち白線補束Adminiculum lineae albae(RK499(前腹壁下部の内側からの解剖図) )により補強されている。この補束は恥骨結合の上縁から幅広く始まっている。
白線は本質的に、幅広い腹筋の腱線維が互いに交差してできた構造である。白線には交叉する線維のほかに縦走する線維もあり、これは下方は白線補束から、上方は胸骨の剣状突起から連続している。さらに、臍部には輪走線維がある。臍部は白線の中で最も幅が広く、胎生期にはここに1つの孔があり、その縁を臍輪Anulus umbilicalis, Nabelringと呼ぶ。ここを通っていくつかの胎児器官が通過する。出産後、特に2本の臍動脈の残存物が増殖を始め、この増殖物が臍輪および皮膚と癒着することで確実に閉鎖する。臍輪の上部、臍静脈の位置に一致して、臍輪とそこを満たしているものとの間に比較的緩い結合が残存している。そのため管状の通路が形成され、これが後天性の臍ヘルニアの発生に重要な役割を果たす。腹横筋膜は臍の周囲でより強固な構造となっている。