前述のように、この筋膜は皮下結合組織と筋層を分離している。臍より上部では薄く、浅胸筋膜に連続する。臍より下部では厚みを増し、弾性線維が豊富になる。特に恥骨部の白線上では顕著で、ここで陰茎係蹄靱帯(Lig. fundiforme penis)と陰茎(陰核)提靱帯(Lig. suspensorium penis/clitoridis)に移行する。

浅腹筋膜は、白線と鼡径靱帯においてのみ腹筋の腱膜と強固に結合する。後者では前腸骨棘から皮下鼡径輪までの間に限られる。鼡径輪では、筋膜の下層部は固着せず、挙睾筋膜(Fascia cremasterica)となって精索に沿って下降し、陰嚢の肉様膜(Tunica dartos)に移行し、さらに陰茎筋膜にも続く。前述の脚間線維(Fibrae intercrurales)は浅腹筋膜の一部である。

陰茎係蹄靱帯(Lig. fundiforme penis)は主に弾性線維で構成され、白線の前面の浅腹筋膜から起始する。これは左右に分岐し、陰茎海綿体を両側から包み込み、陰嚢基部に放散する(RK493(浅鼡径輪および大腿輪) )。

陰核係蹄靱帯(Lig. fundiforme clitoridis)は非常に弱く、弾性に乏しい。

陰茎(陰核)提靱帯(Lig. suspensorium penis/clitoridis)は恥骨結合の前面から起始し、陰茎または陰核海綿体の背面に終止する。この靱帯には腹直筋の腱と外腹斜筋の腱膜の線維が含まれる(RK490(頚部、胸部、腹部の筋群:左側は浅層、右側はより深層を示す)RK492(腹筋) )。

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RK490(頚部、胸部、腹部の筋群:左側は浅層、右側はより深層を示す)

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RK492(腹筋)

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RK493(浅鼡径輪および大腿輪)