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図183(甲状軟骨:左側面図)、184(甲状軟骨:前方からの図)
甲状軟骨は喉頭軟骨の中で最大であり、右板と左板Laminae dextra et sinistraという板状または翼状の2枚の部分から構成される。これらの板は正中線上で、わずかな個体差はあるものの、鋭角を形成して互いに結合している。
左右の板はおおむね四辺形をしている。前縁が最短で、後縁は自由縁となっており、厚みがあり円みを帯びている。上下に棒状の突起を出しており、これらを上角および下角Cornua hyoideum et cricoideumと呼ぶ。上角はより長く、上後方かつ内側に向かう。下角はやや短いが太く、前方かつ内側に向かっている。下角の内面には小さな関節面がある。
甲状軟骨の上縁は左右ともS字状に湾曲しており、中央に上甲状切痕Incisura thyreoidea cranialisという切れ込みがある。上縁は上甲状切痕から上方に凸の弧を描いて始まり、上角付近で下方に向かって凹んだ曲線を描いて終わる。下縁は中央が窪んでおり、この部分を下甲状切痕Incisura thyreoidea caudalisという。
外面には斜線Linea obliquaという斜めに走る隆起がしばしば見られる。これは後上方で外面の上縁にある三角形の上甲状結節Tuberculum thyreoideum cranialeから始まり、前下方に走って下甲状結節Tuberculum thyreoideum caudaleに終わる。
左右の板の内面は滑らかで、わずかに凹んでいる。上甲状結節の近くには時折甲状軟骨孔Foramen thyreoideumという穴が見られ、上喉頭動脈がここを貫通する。通常、この動脈は上喉頭神経とともに舌骨甲状膜を貫く。斜線には胸骨甲状筋が付着し、また甲状舌骨筋の起始部となっている。斜線より後方の面からは喉頭咽頭筋の甲状咽頭部が起こる。