RK668(**女性の骨盤動脈(左側)**右側から見た図)RK669(骨盤右半分の動脈分枝(左側面図))

この動脈は胎生期に内腸骨動脈の主枝であった。前方に曲がって臍胱の側方に至り、そこから前腹壁の後面を腹膜に覆われて臍に向かって上昇する。

臍では左右の動脈が鋭角に集まる。臍静脈に接して臍帯内でこの静脈の周りをらせん状に巻きながら胎盤へ走る。胎盤では特殊な閉鎖性毛細血管系を形成し、母体血液から栄養物質と酸素を取り込み、老廃物を排出する。こうして新鮮な性状となった血液が臍静脈を通じて胎児の体内へ導かれる。

出産後、小児の腹腔内にあるその大部分が血流を失い、索状物に変化して左右の臍動脈索Chorda a. umbilicalisとなる。

ただし、この動脈の起始部はある程度血流が維持され、そこから上臍胱動脈が分岐する。

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[図669] 骨盤右半分の動脈分枝(左側面図)

骨盤内臓は前方に反転して表示。