(RK652(上腕(右)屈側の動脈(1) (浅層))RK653(前腕(右)屈側の動脈(II))RK654(前腕(右)屈側の動脈(III) )RK655(前腕(右)伸側の動脈)RK656(手掌(右)の動脈(I)(浅層))RK660(手背(右)の動脈(II)) )

この動脈は通常、橈骨動脈より細く、前腕の内側を遠位に向かって走行する。その起始部から弓状に湾曲して尺側遠位方向に向かい、前腕の浅層と深層の屈筋群の間に入る。尺側手根屈筋に覆われ、その腱の外側縁に沿って豆状骨の外側に達するが、手関節部ではこの腱にわずかに覆われたままである。豆状骨の外側より遠位で、尺骨動脈はその終枝に分岐する。

Adachiの研究によると、前腕遠位部での測定では、日本人100例中70例で橈骨動脈の方が太く、尺骨動脈の方が太いのは14例、同じ太さのものは16例であった。一方、Jaschtschinskiの報告では、この部位では平均して尺骨動脈の方が太いとされている。

**局所解剖:**起始部では尺骨動脈は尺骨の鉤状突起に密接しており、その後深指屈筋の上を走行し、手根部では横手根靱帯の上に位置する。

この動脈はまず前腕の浅層の屈筋群に覆われるが、前腕のおよそ中央の高さでこれらの筋群から離れて尺側手根屈筋の筋質部に達する。さらに遠位ではより浅層にあり、そこでは尺側手根屈筋の腱がこの動脈の内側に位置する(RK652(上腕(右)屈側の動脈(1) (浅層)) )。横手根靱帯の上でこの動脈は深浅2つの終枝に分かれ、これらはともに外側に向かって走行する。尺骨動脈は2本の静脈を伴っており、これらの静脈は動脈を取り囲むように横走する多数の短い吻合によって互いにつながっている。

この動脈の起始では正中神経がすぐその掌側面上にあるが、動脈が内側へ進むにつれ、この神経はすぐに動脈の外側に位置するようになる(RK653(前腕(右)屈側の動脈(II)) )。一方、尺骨神経は尺骨神経溝のところでは動脈からかなり離れているが、徐々に接近し、前腕の中央の高さで動脈のそばに達する。その後はずっと動脈の内側に沿って走行する。

**神経:**尺骨神経の掌枝Ramus volarisから出る多数の細い枝および前腕の遠位端で(HahnとHunczeckによると)尺骨神経の幹から出る1本の細い小枝がこの動脈に至る。