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A14_0053(脳クモ膜)Cranial arachnoid mater△
基本構造と位置
主要な軟膜槽
脳膜顆粒の特徴と機能
連続性と連絡
これは血管を持たない繊細な膜で、その平滑な外側面は内皮に覆われ硬膜に向かい、狭い硬膜下腔Cavum subdurale, Subduralraumを内側から境している。クモ膜の内面は内皮に覆われた多数の小梁と小膜により粗で、毛羽立っている。これらの小梁と小膜がクモ膜を軟膜と結合し、クモ膜下組織と呼ばれる。このクモ膜下組織により、クモ膜と軟膜の間の空間が相互につながる大小様々な空間の集まりとなり、全体が軟膜腔Cavum leptomeningicumと呼ばれ、(クモ膜下の)髄液で満たされている。
終脳の凸面と平坦な表面にある諸回転上では、クモ膜下小梁が短く固いため、クモ膜と軟膜が合わさって1枚の膜とみなせる状態である(これが脳軟膜Leptomeninxである)。この1枚の膜は2枚の丈夫な境界板からなり、その内部に小梁と隙間がある。軟膜は脳溝内に入り込むが、クモ膜は脳溝の上を越えて伸びている。そこには比較的長い小梁や小膜、および大きな裂隙を持つ場所がある。脳底と脊髄への移行部では、クモ膜が特定の箇所で軟膜から大きく離れて持ち上がり、そのため大きなクモ膜下の空間、すなわち軟膜槽Cisternae leptomeningicaeが形成される。
軟膜槽の中で最大のものは小脳延髄槽(Cisterna cerebello-medullaris)で、脊髄の後面のクモ膜下腔の延長である。クモ膜は下虫と第四脳室脈絡組織の間に入り込まず、小脳下面から延髄後面へ橋渡しする。脊髄前面のクモ膜下腔も脳へ続き、延髄全体を広いクモ膜下腔が包む。橋の腹側では、このクモ膜下腔が中央と両側の腔所に分かれ、中橋槽(Cisterna pontis media)と外側橋槽(Cisternae pontis laterales)と呼ばれる。中央の槽は脳底動脈を取り囲む。クモ膜は橋の前縁から視神経交叉の前縁まで及ぶ。
この大きな腔所にはさらにいくつかの部分がある。漏斗から両側の動眼神経の出口まで達する不完全な隔壁により、前方の交叉槽(Cisterna chiasmatis)と後方の脚間槽(Cisterna intercruralis)に分かれる。視神経交叉の前上方には終板槽(Cisterna laminae terminalis)があり、背方には脳梁の凸面に沿って脳梁槽(Cisterna corporis callosi)が存在する。外側大脳谷と外側大脳裂には外側大脳谷槽(Cisterna valleculae lateralis cerebri)がある。迂回槽(Cisterna ambiens)は大脳脚を回って脳幹背側面へ延び、四丘板を囲み、脳梁上まで続く。大大脳静脈の周囲には大大脳静脈槽(Cisterna venae cerebralis magnae)がある。